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お爺様は母の忘れ形見として、私を見つけ出して引き取ってくれた。
その点はとても感謝している。
出来れば、お爺様の為に何かしてあげたいと常々思っていた。
でも、それは結婚じゃない。
お爺様は話が終わると私を残して、リビングを出て行った。
お爺様は事務的で、私とは最低限の会話しかしない。私と過ごす時間は無駄のように思っているようだ。
それとも、未だにお爺様から母を奪った父を恨んでいるだろうか?
私はもっと家族として、お爺様と話がしたいのに、私達の間には深い溝があった。
その溝は容易に埋めるコトが出来なかった。
「陽那様・・・」
石田さんが私に相手の見合い写真を渡した。
「名前は伊集院敦司(イジュウインアツシ)様です…陽那様」
「分かりました…」
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