一幕目*プロローグ

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お爺様は母の忘れ形見として、私を見つけ出して引き取ってくれた。 その点はとても感謝している。 出来れば、お爺様の為に何かしてあげたいと常々思っていた。 でも、それは結婚じゃない。 お爺様は話が終わると私を残して、リビングを出て行った。 お爺様は事務的で、私とは最低限の会話しかしない。私と過ごす時間は無駄のように思っているようだ。 それとも、未だにお爺様から母を奪った父を恨んでいるだろうか? 私はもっと家族として、お爺様と話がしたいのに、私達の間には深い溝があった。 その溝は容易に埋めるコトが出来なかった。 「陽那様・・・」 石田さんが私に相手の見合い写真を渡した。 「名前は伊集院敦司(イジュウインアツシ)様です…陽那様」 「分かりました…」
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