11

4/4
1496人が本棚に入れています
本棚に追加
/84ページ
私たちは、多少、いや、かなりギクシャクしながら、ドライブを終えた。 あの海が… 私たちの約束の地… だけど、暁さんが死んだら… 2度と行けない、約束の地… そんな事を車の窓の外を見ながら、ずっと考えていた。 マンションに帰り着くと、すぐに、インターホンが鳴った。 「あぁ… 神桜か… 今開ける。」 どうやら、神桜さんが来たようだ。 「どうした?」 「えぇ、ちょっと急用で… ん? なんか、険悪な雰囲気じゃありません?」 「気のせいだろ。 さっさと用件を言え。」 暁さんは、ソファに座りタバコに火をつけると、先を促した。 「あぁ、明日華栄会の若頭全員、帝国ホテルの最上階に集まるように、と、オヤジさんから連絡がありました。 もちろん、正装で来い、との事です。」 「若頭全員? 何事だ?」 暁さんが顔をしかめる。 「それが… 詳細は一切分かりません。 ただ…チャカもドスも持ってくるな、と。」 「そう言えば、オヤジは策がある、とかなんとか言っていたな。 全く相変わらずむちゃくちゃだ。」 暁さんが、高い高い天井に向かって、煙を吐いた。 「危険なの…?」 私は思わず聞いてしまった。 「ふっ… 夜宵さん、私たちはヤクザですよ? 危険じゃ無い事の方が少ないんですよ。」 神桜さんが、鼻で笑ってそう言った。 「夜宵。 大丈夫だから。 あぁ、神桜、夜宵の事1日任せていいか? ずっと家の中じゃ息が詰まるだろうし。」 暁さんが言う。 「構いませんけど…」 「変なことしたら、ぶっ飛ばすぞ?」 「ペチャパイには興味はありません。」 ペ…ペチャ…パイ…? 「失礼ね! ぺ、ぺ、ペチャパイじゃ無いもん!」 暁さんと神桜さんは面白そうに笑っている。
/84ページ

最初のコメントを投稿しよう!