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「与織〜!」「与織ちゃん〜」
2時間近く走り、ようやく着いた新居の地下駐車場。いっちゃんが連絡していたのか、台車を傍らに携えて待ち構えていた2人の兄に出迎えられた。
「ふう君!みー君!今日からお世話になります!」
車から降り、真っ先に駆け寄ると私は2人の兄にそう言う。
「こっちこそよろしくな。困ったことあったらすぐ言えよ?」
私の5つ上の兄、ふう君は笑顔で私の頭をゴシゴシ撫でる。兄弟の中では一番背が高く、たぶん185はあるだろうふう君は、社会人として許されているのか分からないけど少し長めの茶髪。妹の私が言うのもなんだけど、夜の街で女性相手に接待する仕事をしてそうな雰囲気だ。
「ふう兄?与織ちゃんの髪がクシャクシャになるよ?」
そう言うと私の2つ上のみー君は、私の髪を梳かすように撫でる。なんと言ってもみー君は兄弟一オシャレで、手先も器用だ。みー君が家にいる間、長かった私の髪を編んでくれていたのは他でもないみー君だ。美容師さんにでもなるのかと思ったけど、関係のない仕事をしているらしく、ちょっと勿体ないと思ってしまう。
「あとでまたちゃんと可愛くしてあげるね」
「ありがとう。みー君!」
そんなことを話していると、いっちゃんが車から段ボールを出してこちらに声を掛ける。
「ほら。颯太、実樹。手伝え!」
その長兄の号令に2人とも顔を上げると、すぐにいっちゃんの元へ向かっていた。
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