17人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ
謎の光
ここは現代。
年が明けて、北風が吹く高校3年の3学期。
俺、千夜保(せんやたもつ)は恋人の諸橋香澄(もろはしかすみ)に友人の鈴木航(すずきわたる)と3人で高校から帰っていた。
「失礼します」
秀才の鈴木が、コンビニの手前の角で家の方向へ別れて行く。
香澄の独り暮らししてる古屋敷も、俺が暮らしている千夜組の屋敷とは逆の方向だ。
俺は極道の息子だ。
「もう別れ道まで来ちゃった…」
香澄は鈴木みたいに直ぐには別れずに、バイクを引いて歩く俺に寄り添った。
「何、今夜またメールする」
俺も名残り惜しかったが日に日に寒さが厳しくなる今日。
帰ったらお互い家事と受験勉強があるだろうし、何より暗くなる前に香澄を古屋敷に帰してやりたい。
俺は寒くて震えてる香澄を片手で抱きしめると、バイクに跨った。
「気を付けて帰ってね」
「香澄もな。変な男に絡まれんなよ」
俺等は、そう言葉を交わして別れた。
屋敷に向けてバイクを走らせている時だった。
突然、目の前の視界全体が白い光で覆われて俺は思わずバイクを停めた。
何だ?一体。
光から細めた目を庇うように右手をかざす。
最初のコメントを投稿しよう!