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「福部さんは、生産者の高齢化が進んでいるのも、ご存じの上で販売をなさろうと?」
「もちろんです。高齢化=廃業も事実ですが、根本的な問題は次の世代も『やりたい続けたい』とヤル気にさせる環境作りも必要なんです」
とある、老舗饅頭屋。
和久は5代目店主と話をしていた。
5代目は今年で65歳。引退するには早い年齢だが、息子が跡を継ぐつもりがないため、自分の代で店を閉じるしかない・・・と、嘆いていた。
「ヤル気・・・今の若者に根性論や理想論を唱えても無駄ですよ。うちの饅頭屋も売り上げは悪い方じゃない。普通に生活していけるだけの利益は確保しているつもりなんですがね。息子に言わせれば、斜陽産業だとかなんとか」
「それは老舗の良さが伝わってないからですよ」
「饅頭作るのも簡単じゃない。手間ひまかけて作る。その味にひかれて買いに来る。うちらの商売は対人。それに引き換え、お茶の生産者さんは業者相手。その向こう側に客がいる。広大な敷地を使い、自然を相手に生産するなんて、無理ですよ」
店主の悲観的な意見に和久も頷く。
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