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自覚と進歩
泣き止まない浩一を安心させるようにぎゅっと抱きしめたまま頭を撫でていると、だんだん、目がとろんとなりうとうとし始めた。
落ち着いて、ずっと寝れていなかった分の眠気が一気に来たのだろう。
せめて寝付くまで、このままでいてやろうと頭を撫で続ける。
すると浩一がふにゃりと笑顔を浮かべた。
「すきだなぁ、、」
小さくそう呟くと、すとんと、意識を失うように寝てしまった。
今なんて?
好き?一体何を?
俺は訳が分からずに、目線だけで周りを見てみたが、これといってヒントになるようなものはない。
一体何を思い浮かべているのだろう。そう思いふと浩一に目線を落とすと、自分の腕の中で幸せそうな顔で眠る浩一に何とも言えない感情が湧いてくる。
ああそうか。先日感じた違和感がぴたっとはまる感じがした。
俺は浩一のことが好きだったのか。
やっと出てきたその答えに、少しすっきりした。
自覚してしまえば、途端に浩一が愛おしく見えた。
彼の頭を撫でていた手で前髪を少しよけると、その額に起こさないようにそっと口づけをする。
「おやすみ」
愛してる。そう思いながら、俺は目も目をつむり眠りに落ちた。
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