Romance.10:芽吹

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四十代以降の男性担当者の場合はまだまだ喫煙者の割合も高いので、喫煙できるお店に絞って調べると、かなり範囲が狭まる。 「上映中吸えねえもん、飯は吸いたい」 「ランチ営業のお店で喫煙可は難しいと思う」 「ならなんか旨いもん食いたい」 「和洋中なら?」 「洋でいい」 そう言いながら、俊平は喫煙所がないかをきょろきょろ横で探し始めるので、呆れながら適当なパスタ屋に入った。 「喫煙所、階下にあったよ」 「まじ?飯食ったら一回吸ってきていい?」 「お好きにどうぞ」 「俺、このナポリタンにする」 早速メニュー表から選んだ様子の俊平は、出されたお水のグラスに口を付けて、手持無沙汰に店内を見回している。 私もクリームパスタに決めたので店員さんに注文を告げて、一息つきながら携帯の時計を見ると、時刻はお昼の2時過ぎだ。 「ちょうどいい時間だね」 「ん?んー…確かにな、映画観たらどうする?」 「何か済ませたい用事とかないの?」 「あ、革靴買いたい」 「革靴?仕事で履く用の?」 「なんか俺すぐ靴底ダメにするんだよな」 今日はカジュアルなスニーカーを履いている俊平は、憂鬱そうに呟く。
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