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再び聞こえた、鼻で笑う音。
「いいや、信じてるんじゃない。そういう女じゃないと知っているんだ。瑠璃は、犯罪者を殺すことに誇りを持つような女だからな。決して自分の欲望のために殺すことはしない」
ぶれることのないまっすぐな声に、東悟はため息をついた。
「おまえがそこまで言うなら……いいだろう」
表情も声も、険しいものに変わった。東悟は乱れた髪を、かきあげる。
意を決したように、喉元から声を絞り出した。
「西園寺に、言っておきたかったことがあるんだ」
「……なんだ?」
「瑠璃ちゃんの連絡を無視して、すまなかった」
哲は何も返事をしない。
「俺が何か連絡していたら、状況が変わっていたかもしれないと思うとな……」
「そんなこと俺に謝るくらいなら、頼んでいることをとっととやってくれ」
ぶつりと、電話が切れた。
東悟は刑事たちの顔を見渡す。それぞれが不安げにこちらを見つめていた。
「……よし。仕事だ」
ため息交じりに、けれども決意を固めた声で言う。その言葉に、刑事たち全員の顔が引き締まった
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