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目が覚めた時
完全に自覚してしまった
と言うより、思い出したのだ
俺は…さっきの彼女…
いや…三ノ輪橋秋の…
かつての恋人だって
なのに…
俺は…
秋に…薬を飲ませて…
悪魔にさせてしまった…
頭の中には、人間だった時の自分の忘れていた記憶がどんどん蘇ってくる
そして、秋との思い出も…
秋…
思い出したよ
俺は…
俺は、秋に会いたかったんだ
もう一度人間に戻って、秋に会いたかった
でも…人間の時の自分の記憶は戻ったのに…
なんで…
「あっはっは…!傑作傑作!
実に低俗悪魔以下の存在に相応しいよ」
嫌みたらしい声が、また頭上から聞こえて来た
ストライプのスーツを着込んで、スクエアの眼鏡を光らせる
「お前、人間の時の自分の記憶が戻ったんだろう…?
まさか、あの女がトリガーだったなんてね
すごい偶然もあるもんだ
でもお前、残念だよねえ~…
後もう少し、あの女がトリガーだと気付くのが早かったら…
トリガーと出逢うのが早かったら…
人間の身体で、彼女を抱けたのかもしれなかったのに…
っぷ…ぷぷ
お前…そのざまじゃあ~…
ははっ…あははっ!!」
「ふーっ…!」
尾っぽを立てて広げ、牙を剝きだして威嚇をした
「ねえ、可愛い猫ちゃん…?」
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