〈2〉図書館での春原くん

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「わかったよッ。…………気をつけろよ!」  梗くんはなんだかものすごく恐い顔で私を睨んでこう言うと、足早に二階へ戻って行った。  気をつけろって……。  我が家はここから徒歩で十分もかからないんだよ?  何を気をつけろって言うのよ。  へんな子。 「あの……ごめんなさい、春原くん。うちの梗くん、態度ワルすぎで」 「いいよ、べつに。それより弟さんにも名前で呼ばれてるんだね。昨日は関口も。関口はいつから三鷹さんのこと名前で呼んでるの?」 「え、優季くん?優季くんはえっと~、いつからだったかな。小学校入る頃にはもう呼ばれてたような……記憶は曖昧なんだけど」 「ふぅん……」  そ……それが何か??  春原くん、なんでそんなこと訊くんだろ。 「………。」 「……?」  そしてまた妙な間が、私は少し気になった。 「じゃ、そろそろ帰ろうか」 「あ、でも春原くん。うちすぐ近所だから」  送ってもらうのがなんだか申し訳なくて。 「送ってもらわなくても」 「弟くんと帰りたいの?」  いいえ! とんでもない!  春原くんがいいですっ。  ふるふるっと、私は首をふりながら心の中で叫んだ。  春原くんはそんな私をみつめて、ふふっと小さく笑った。
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