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「わかったよッ。…………気をつけろよ!」
梗くんはなんだかものすごく恐い顔で私を睨んでこう言うと、足早に二階へ戻って行った。
気をつけろって……。
我が家はここから徒歩で十分もかからないんだよ?
何を気をつけろって言うのよ。
へんな子。
「あの……ごめんなさい、春原くん。うちの梗くん、態度ワルすぎで」
「いいよ、べつに。それより弟さんにも名前で呼ばれてるんだね。昨日は関口も。関口はいつから三鷹さんのこと名前で呼んでるの?」
「え、優季くん?優季くんはえっと~、いつからだったかな。小学校入る頃にはもう呼ばれてたような……記憶は曖昧なんだけど」
「ふぅん……」
そ……それが何か??
春原くん、なんでそんなこと訊くんだろ。
「………。」
「……?」
そしてまた妙な間が、私は少し気になった。
「じゃ、そろそろ帰ろうか」
「あ、でも春原くん。うちすぐ近所だから」
送ってもらうのがなんだか申し訳なくて。
「送ってもらわなくても」
「弟くんと帰りたいの?」
いいえ! とんでもない!
春原くんがいいですっ。
ふるふるっと、私は首をふりながら心の中で叫んだ。
春原くんはそんな私をみつめて、ふふっと小さく笑った。
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