4116人が本棚に入れています
本棚に追加
/225ページ
次の日、検査結果は良好だったので無事退院できた。その足でいきつけのコーヒースタンドへ向かう。イケメン店員郡司亮介にお礼を言うためだ。
デパ地下で高級焼き菓子を買い、museへやってきた。ドキドキしながら店内をのぞく。あれ? きょうはお休みかな。彼の姿はない。
他の店員に聞くと、きょうはもう仕事は終わって帰ったとのこと。残念に思いながら店を後にする。
またあした来よう。そうしきりなおして駅へ向かうと、見覚えのある後ろ姿が前の方を歩いている。郡司くんだ!!
「郡司くん!!」
走っていって、後ろから声をかけた。パッと振り返ったその人は、紛れもなく亮介だった。
「未央さん! 大丈夫でしたか? もう歩いていいんです?」
心配そうな顔で亮介は未央の顔をのぞき込んだ。イケメンすぎて直視できない未央は、少しうつむいて話しだす、
「きのうはありがとうございました。命を助けていただいて……。あのこれ、少しですけどお礼です」
未央は高級焼き菓子の紙袋を差し出した。
亮介は差し出された未央の手をとって、手の甲にそっとキスをする。え? なんで? 突然すぎて思考が止まる。
「僕、未央さんのこと大事にしたいと思ってます」
大事にしたいって……? どういうこと? 未央はしどろもどろにしか言葉が出てこない。
最初のコメントを投稿しよう!