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「鶴田さん……やられました……」
私はすごすごとステーションに戻ってきた。
奥のテーブルでは鶴田さんがニヤニヤしながら待っていた。
「だから、トレーに入れてけって言ったのに」
「両手ふさぐからよ」
杉山さんも呆れ返っている。
「はい。すみません……」
私の白衣のポケットには、パンパンにチョコレートが詰め込まれていた。両端をひねったフィルムで包まれたお徳用のチョコレートだ。
「山田さんが入院してきたから、やると思ったんだよね」
「そーそー。あの人、こっちの手がふさがってる時を狙って、ポケットにチョコ突っ込んでくるの」
「朝、トイレに行くときにさ、こっちの手がふさがってんの確認してから来るから最悪~」
「え~? もっとちゃんと教えてくださいよ~」
そしたら対策考えたのに……。私は溜息を付いた。
好意は解るけど、トイレで詰められたチョコなんて……微妙。
やっぱり、生きてるヒトの方が何するか分からなくて、……怖いよぉ。
< 終わり >
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