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「ちょっとだけです。貴堂さんの言いたかったことがすごく、すとんと胸に降りてきた瞬間があったんです。雪ちゃんは貴堂さんと話しなさいと言ったの。私の説明が下手でも貴堂さんはちゃんと理解してくれるから、と。私が選んで心を開いた人は信頼できる人だって言ってくれたんです」
紬希は貴堂にぎゅうっと抱きしめられた。
「紬希が僕のことを信頼できる人だと言ってくれることはとても嬉しい。それに君たちが仲がいいのは分かっているんだけど、こんな時は少しだけ妬けるよ。花小路くんはいい男過ぎる」
「そうですね。雪ちゃんは素敵な人です」
そんな雪真に紬希は憧れの気持ちを持っていたこともあったけれど。
「紬希」
貴堂に額をこつん、と合わされる。
「僕のベッドの上で他の男の話をするとはなかなか度胸があるね」
「そんなつもりはないですよ」
ヤキモチっぽく聞こえるけれど、そんなことはあるだろうか。
貴堂の綺麗な顔がじっと紬希を見ている。紬希はそっと上目遣いで見た。
「あの、いちばん大好きなのは貴堂さんですから」
ふっ……と微笑んだ貴堂がとても幸せそうだった。
「よく出来ました」
今度は唇が重なる。
「紬希、一つお願いがあるんだけど聞いてくれるかな?」
貴堂さんのお願い……!
「はい。私にできることでしたら」
「再度確認するよ。僕たちは恋愛関係のパートナーで間違いはないよね?」
こくこくっと紬希は頷く。
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