廃墟の真実

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大野陸翔(おおのりくと)の場合  小学校の高学年くらいの時によく遊んでた友達がいたんだけど気が付いたら疎遠になっていたんだ。  男子3人と女子1人の……4人組だったな。放課後はもちろん、休みの日も集まったり、ほとんど毎日顔を合わせていた。  そんなに仲が良かったのにどのタイミングで遊ばなくなったのかが本当に思い出せない。  名前も少し曖昧で……かど……そうだ、門田和樹(かどたかずき)と……女の子が椎名(しいな)……苗字は椎名で間違いないけど名前が思い出せない。あともう1人は苗字も……思い出せない。  当時あれだけ一緒に過ごしていたのに、今思うとどんなことをして遊んでたのかも、なんとなくしか思い出せない。  そんな曖昧な感じだけど、一番印象に残っているのはどこかの廃墟に探検に行ったことかな。  探検と言っても遠くに行ったわけではなく、たしか学校からも結構近くの場所だったはず。物凄く広い空き地の中に元々は工場だと思われる建物があって、その日は綺麗な夕日が差し込んでいたのが印象に残ってる。  反対する仲間もいたけど俺らは行くことにしたんだ。  中は薄暗くほこりっぽい感じだった。まずは広間があり、そこを進んでいくと休憩室のような部屋があった。給湯室やトイレもある。  そのまま俺が先頭で狭い廊下を進んで行くんだけど、靴紐がほどけていることに気付いて結ぼうとして立ち止まった。すぐ後ろを歩いていた……名前は思い出せないけど……男子が立ち止まった俺にぶつかった。  そう、ここが最後で、これ以上思い出せない。  その後は多分何もなく廃墟を歩き回って普通に帰ったはずなんだけど。  でも何かこの後からあまり4人で遊ぶことがなくなってきたような気がする。
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