5章

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5章

「瑠実菜は見つかったかい?!」  セリバーテル社長、占部浩平(うらべこうへい)はお昼休み中の(たちばな)に尋ねる。  橘は目を合わせず「いえ、それは……まだ……」と返す。  自信なさげな返事に浩平は「もういいや。きみは使えないね」と笑顔で暴言を吐く。 「社長、朝からひっきりなしに電話鳴ってるんです! そろそろなんとかしてください! うちの会社がこれ以上悪いことで有名になってどうするんです?!」  橘は腕をさすって涙ながら訴えるが、浩平は「そんなのは無視すればいい」と穏やかな声で切り捨てる。  午前中だけでイタ電、会社のお問い合わせホームや公式のSNSにいたずらや誹謗中傷コメントが来ている。  電話対応をしているのは他ならぬ橘だ。 「じゃぁ、そのまま頼むよ。瀬里香、一緒に家戻ろう」  占部夫妻は橘をねぎらうことも対応もすることなく、仕事放棄して車で自宅に向かった。 「……んだこりゃ?!」
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