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「誰だって、自分が嫌いな時ってあるでしょ?でも逢生はそんな時でも私のことが好きなんです」
「……なるほどね」
「きっと前世は犬ですよ」
そう私が言い終わると、公園内が騒然としていることに気づいた。
全員が空を見上げている。
菱水音大附属高校の生徒達の演奏が終わっていて、空に向かって指をさしている。
演奏中でなくて、本当によかったと心から思った。
なんて迷惑な先輩達だろうか。
これには梶井さんも頬をひきつらせた。
ヘリが飛んでる。
そして、公園の広い芝生の上ヘリをギリギリまで降下させ、そこから人が三人降りてきた。
「やっぱりここにいたー!」
陣川さんが手を大きく振った。
菱水音大附属高校の生徒が『陣川先輩だ』『なにしてるんだ?』『渋木先輩と深月先輩もいるぞ』と大騒ぎしている。
「デートが終わっただろうから、迎えにきた」
「ほんの数十分だったけど、それってデートになるの?」
「数分でも多いくらいだよ」
これで帳消しになったねと言って梶井さんに不敵に笑ってみせた。
最初からこのつもりでいたんじゃないの?というくらい行動が早かった。
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