第35話 奪取

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「誰だって、自分が嫌いな時ってあるでしょ?でも逢生はそんな時でも私のことが好きなんです」 「……なるほどね」 「きっと前世は犬ですよ」 そう私が言い終わると、公園内が騒然としていることに気づいた。 全員が空を見上げている。 菱水音大附属高校の生徒達の演奏が終わっていて、空に向かって指をさしている。 演奏中でなくて、本当によかったと心から思った。 なんて迷惑な先輩達だろうか。 これには梶井さんも頬をひきつらせた。 ヘリが飛んでる。 そして、公園の広い芝生の上ヘリをギリギリまで降下させ、そこから人が三人降りてきた。 「やっぱりここにいたー!」 陣川さんが手を大きく振った。 菱水音大附属高校の生徒が『陣川先輩だ』『なにしてるんだ?』『渋木先輩と深月先輩もいるぞ』と大騒ぎしている。 「デートが終わっただろうから、迎えにきた」 「ほんの数十分だったけど、それってデートになるの?」 「数分でも多いくらいだよ」 これで帳消しになったねと言って梶井さんに不敵に笑ってみせた。 最初からこのつもりでいたんじゃないの?というくらい行動が早かった。
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