お迎え

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お迎え

 汗が(にじ)む季節も過ぎ去ろうとしている秋口の一日。講義を終えて教室棟を後にし外に出ると、ひんやりする空気が鼻の頭に触れた。暖かい空の色には触れられない。  だけど、僕の足もとには小さく温かな白い猫がいる。疲れた一日の終わりに僕を迎えてくれるその猫はたちまち注目の的になる。声をかけられる中、僕はいつも優雅に歩を進める。爽やかな微笑みで彼らに挨拶を返しながら。  この小さな生きものはいつしか世界と僕を繋げてくれる大事な存在となっていた。
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