19人が本棚に入れています
本棚に追加
/503ページ
「――一つ、『夢』を見させてもらおう、と思っている」
「夢?」
「いつか、初代源氏の血を引く者が、海を超えて戻って来る。その時に、我ら北条はその人物に、将軍職をお返しする」
「……そんなこと、考える必要がある?」
泰時の言葉を聞いた三浦の方は、不思議そうに尋ね返して来た。
「あなただって、初代将軍の――」
「俺は、北条義時の息子だ」
そうして。
言葉を続けた来た彼女を遮って、泰時はそう言い切る。
三浦の方は、一瞬驚いたような表情になったが、すぐに煌めく海面の方に視線を向けた。
「そう……」
その海は、博多の海へと続いていて。
笑顔で出航する海が、見えるような気がした。
最初のコメントを投稿しよう!