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昔、かけ角という鬼がいた。普通に人間として暮らしていた。江戸時代のある時、円の業者の所から帰る時、夜道は暗くて危ないのでと行者が赤提灯しかないけどと提灯を持してくれた。
帰る途中、辻斬りにあって、かけ角は殺されてしまった。
もちろん、鬼たちは人よりも強い。その気になれば、
辻斬りなど簡単に殺せる。だが、円の業者から、人としてこの世で生きていく為には、鬼の力を使うのを禁じられていた。
無残な死に方であった。
行者は、墓に、破れた赤提灯を供えた。
それから、いく年経ったことだろう。
赤提灯は、化け提灯になって、酒好きだったかけ角を求めて、酒屋の店先に
下がっては、愛しいかけ角を探していた。
昭和の中頃、ある店をくぐった、サラリーマンがいた。赤提灯は、喜んだ。まさしく、かけ角の生まれ変わりだった。
サラリーマンは、その店が気に入って、何度も通い続けた。
ある時、突然、店の主人から、店を閉めると告げられた。店の物なら、何でも持っていっていいと言われ、
サラリーマンは、店の目印だったもの赤提灯をもらった。
化け提灯は、嬉しかった。
サラリーマンの家によろこんで連れ帰られた。
サラリーマンは、奥さんに手伝ってもらい、赤提灯を据付て、それからは、家で呑むようになった。
化け提灯は、それとは知らずに持ち帰ってくれた、かけ角の生まれ変わりと、いつも一緒に、一献かたむけるようになって、最高に幸せだった。
とっつぱれ
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