牛になったお姉ちゃん

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牛になったお姉ちゃん

 ぼくのお姉ちゃんはご飯を食べたあと、すぐ横になってしまいます。食器のお片づけもしないで、部屋でごろんと寝てテレビばっかり眺めています。  お母さんが「少しは手伝いなさい!」と叱っても知らんぷりをしていました。「食べてすぐ横になったら牛になっちゃうわよ」と脅しても効果はありません。  ぼくはお姉ちゃんが牛になったら大変だと思っていたので、いつも横になったお姉ちゃんを起こそうとしていました。けれど、そんなぼくの気持ちも知らないで「もー!」とお姉ちゃん怒るばかりです。  そうしているうちに、お姉ちゃんはとうとう牛になってしまいました。黒い毛を生やし、大きな角を持った牛です。部屋のど真ん中で身動きがとれなくなっているお姉ちゃんに、お母さんは呆れてものも言えません。  だけど、牛になってもお姉ちゃんはお姉ちゃんだったようで、ぼくを見るなり、「もー!」と怒っていたのでした。  お姉ちゃんが牛になったのは悲しいけど、ぼくと同じ牛になったので、実は半分うれしくもありました。  それからは、ぼくたちは互いにもーもーと鳴きあっています。  お題:「ウシ」を主人公にしたお話
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