lawpedia 第十二章第百四条の項(抜粋)

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lawpedia 第十二章第百四条の項(抜粋)

 憲法第十二章第百四条は、日本国憲法の条文の一つで、大罪者に贖罪を行なわせる大善者の権利について規定している。 条文  すべて国民は、己の大善に報いられる権利を有する。報いを求める国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。  大善および報いの要件は、法律でこれを定める。 沿革  インターネット、特にSNSの普及に伴い、それらのツールを悪用した権利の侵害が、日本国内で増加した。  21世紀に入って目立ち始めたのが、多数の匿名個人による独りよがりな正義の暴走である。  ネット上で『悪』と見なされた特定個人(企業、団体のこともある)に対し、ネット上で、匿名で、一方的に、激烈な攻撃を加える。また、攻撃対象者の個人情報を探り当て、ネット上に無許可で晒す。これにより、攻撃対象者の日常生活の継続が困難になる事態が頻発したのだ。  その対応策として、インターネット上で権利の侵害行為を行なった投稿者情報の開示を迅速に行なうために、『被害者による開示請求権を定めた特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律』の改正が行われたのは二〇一五年のことである。  しかし、インターネット上での正義の暴走がやむことはなかった。  国民の多くは、悪事を働きながら罰を受けることなく社会的経済的に益を得ている者たちの存在を許すことができなかったのだ。法的に許されても、心情的に許せない。  多数の匿名個人による正義の暴走の攻撃対象となった被害者の中には、『悪』とされた行為と無関係の第三者も多く、また、『悪』とされた事象自体が事実無根のものである場合も多かった。  正義の暴徒たちは自らに正義があると信じて暴走し、無辜の人間の生命と生活を脅かす犯罪者となっていくのだ。彼等を犯罪に向かって突き進ませたのは義憤であり、私欲ではない。彼等が犯した真の罪は『軽率』『浅慮』『慎重さの欠如』と呼ぶべきものだったろう。  そういった事態を打破するために制定されたのが、日本国憲法第十二章第百四条である。
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