scapegoat

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「嘘言ってるとしたらあっちです。いや、嘘っていうかそもそも俺のこと言ってるとは限らないし。うん」 とはいえ限りなくカノジョのことを言っているに違いないんだけど。カノジョはそんなことを言って何度も頷いて、ビールを煽った。男らしいいい飲みっぷり。 「ま、言わせとけよ。別に俺らには関係ねぇってことだろ」 兄さんは軽く髪をかき上げながら、退屈そうに言った。旦那がそのかき上げた髪に軽くキスを落とす。ここが居酒屋じゃなければ様になったのにと思いながら。 * * * そうそう、そんなものは関係ない。芸能人様が勝手に言ってる戯言だ。最終的にそんな感じに割り切って店を出た。 俺もカノジョも酔い直して、そのまま揃って俺の家で朝を迎えた。 「この間の服、洗濯してしまっといたよ」 「ありがとう、やっぱりお前の家に服置いとくと楽だわ」 半同棲とまではいかないけど、泊まりに来ることも多いから、カノジョの私物はあれこれ置いてある。 昨日と違う服を着ていれば、泊まったのも周りにバレないし。俺はバレてもいいけど、カノジョが恥ずかしいから嫌なんだってさ。 「うちにも泊まりに来ればいいのに」 なんて言われるけど、マジで神社みたいなお屋敷のご自宅で、俺はくつろげる自信はないから、未だにお泊まりしたことはない。
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