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旅行?
もうすぐ当日になろうかという二十三時半、筑摩美弥子は眠れずにいた。
ベッドに体を埋めては、眠れずに起き上がり、スポバを確認する事数回。
明日からの、二泊三日の帰省が楽しみで仕方ないのだ。先日、両親から温泉旅行で家を空けるという連絡がきた。長女の美弥子に急に来られては困るという事で、一応報告してくれた訳だが‥‥‥
美弥子は隣県の大学の女子寮に入っていた。そして、彼氏の正弥もまた同じ大学の男子寮に入っている。お互い貧乏学生という事で、お泊りデートが出来ずにいた。
そこでチャンスとばかりに、土日を挟んで二泊三日で家に来ない?と彼氏に提案した。ただ、その間両親が家を空けるから留守番を頼まれた、なんて言うささやかな嘘をついて。少し緊張の趣で、それでも二つ返事で快諾してくれた彼。
もしかして、いやもしかしなくても喪失前夜かも、と悶える彼女の枕元の時計が、間もなく零時を差そうとしていた。
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