§1 御曹司に連れ去られる模様です

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だって、対する私は身長158センチ、体重○○キロ、胸はパッドを2枚縫い込んでようやく人並みの丸み。髪は肩につかない程度のボブ、奥二重、丸顔の童顔。見た目も中身もごくごく普通の一般的女性だ。 「こちらは麦倉みのりさん。支社から今日付けで本社に来たんだ。ほら、ご挨拶して?」 痛い。またつねられた。 「はははじめまして。仙台支社から参りました麦倉みのりです。そ、颯悟さんとは半年前に知り合って、お付き合いさせていただいております」 「僕、みのりさんと結婚したいと思ってる。父さん、いいかな?」 「また物騒だな、颯悟」 はい? 結婚? いま、結婚って言った????? 「け、けっ……☆§●※▽■〇×?!」 痛いっ! またつねられた。 非常階段では、恋人、だったはず。 右隣に立つ桐生颯悟を見上げた。 にっこりと明るく微笑み、やや首を傾げる仕草はいたずらっ子のようでかわいい。父親であるらしい社長にかわいくアピール、みたいな? このひと、猫かぶり? 二重人格? 腹黒? 社長もゆったりと微笑んで、おいおい、と腹に響くテノールの声を響かせた。
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