てっちゃん、動きます

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てっちゃん、動きます

「渋谷くん、どうしたの? このワーク……?」  深澤に提出したら、案の定汚したことがバレた。  生徒指導室に二人で話したいからと連れられた。  隣の職員室はにぎやかであるのに対して、生徒指導室は人気なく、机と椅子が対面でおいてあるだけ。まるで警察の取り調べ室みたいだ。 「あ、いや、家でコーヒーをこぼしたもんで……」  嘘はついてない。家でこぼしたは事実だ。でもその前に「菅原さんの家で、彼女がわざと」がつくのだ。 「あと、おでこ赤いけどどうした? ちょっと触っていい?」  触られて肩がピクつく。 「そ、そうですか? そ、そんな覚えないんですが」  深澤に悟られないように額を触ってどこですかとごまかす。声が裏返る。  俺の赤みがかった額をみた深澤。よく生徒のこと見てるなー。 「い、家のど、ドアにぶ、ぶつかった、だけです」  顔には汗が出てるし、目が泳いでいるのを見られたくないので、下にうつむく。    
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