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序章
「――私には小学校時代からずっと好きな人がいます! ……その人は小学校からの幼馴染で、頼りないところがあるけど手先が器用で他の人より優しいところが素敵です」
淀みなく主張する幼馴染。さすが中学で生徒会長で人前で話してただけある。
ギャラリーが「だーれー」と合いの手を入れる。
「それは――渋谷哲平くんです!」
舞台上の幼馴染は続ける。
「だから……渋谷くん、私とどうか付き合ってください!」
幼馴染は頭を下げた。
視線が俺に刺さってくる。
どう考えてもこれ断れない状況だ。
前日に幼馴染から「私、自己主張にでるからよろしく」なんて言われたが冗談だとおもった。
無言の圧力をかけられていたんだ。
断ったら断ったで「渋谷はKYな奴」と陰口叩かれる結末が見える。
確かにあやは周りの評判通りの人間だ。
「――よろしくお願いします!」
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