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プロローグ
「アニ様、大石様がお越しになられました」
「はい」
スタッフのさんが私を呼びに来た。今日は人間ドールの気分ではないけど、私には拒否権はない。
白井さんが注射器を私の右腕に刺すと、少しずつ私の身体の自由は失われてドールになっていく。
「大石様、アニをお連れしました」
白井さんが私を車イスに乗せ、大石様の部屋の前まで運び、大石様の部屋を開ける。
「アニ、待っていたよ。白井くん、今、アニのドレスを注文したから持ってきてくれたまえ」
「かしこまりました」
白井さんは車イスを部屋の中に入れると、一礼して部屋を出て行った。
大石様の様に、お金が有り余っている人の中で、人間ドールが秘密の趣味として広まっている。
人間ドールに性的な事をしてはならないという規則はあるけど、それ以外なら部屋の中では人間ドールと自由に過ごす事が出来る。
「アニ、今日も可愛いね」
大石様は私の顔を撫でる。注射のせいで顔の表情を全く動かす事が出来ない私は、常に微笑を浮かべている。
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