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 風を通すような服装でカブに乗るには寒く感じる季節になった。久しぶりに黄色いナイロン製のジャケットを出した。今日は良い天気。プレスカブでのんびり走るのにぴったり。大きな交差点を曲がってすぐの喫茶店。駐車場の奥にプレスカブを駐めて店に入った。天井の高い木造の建物。ランチタイムを過ぎたせいか客は少なく店内は静か。古そうな食器や時計がディスプレイされている。奥のテーブルに見知った顔のふたりがいた。俺は「こんにちは」と挨拶した。 「いや、こんにちはの前に言うことあると思うんですけど」そう言ったのは星口玩具の社員、山崎園子。20代のキラキラOL。こんな田舎でキラキラしている。首元と袖にフリルのついたブラウス。ジャンパースカートはブラウンのチェック柄。 「今日もお洒落ですね」 「そこじゃない」
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