心を試すリスク

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心を試すリスク

 半年に一度、多い時は二、三か月に一度、仕事から家に帰るとお前の服や日用品が無くなっている。こういう時は決まってテーブルの上に置手紙が置いてある。「もう耐え切れない、さようなら。」探し出しては連れて帰り、また出て行ったお前をまた探し出す。何度繰り返しても結局結果は一緒。 不思議なのは、出て行ったはずのお前が俺の事を待っているって事。 お前はいつもそう、やっとの思いでお前を見つけ出した俺のこの手を振り払わずに握り返す。……やっと来てくれた、とでも言いたいかの様に。  何度か、もうこのまま見つけてやらない方がお前のためなのかもしれないと、そのままにした事があった。そしてある日家に帰ると、お前が晩飯を作って待っていた。俺の暴力的な愛情に耐えられなくなって出て行ったはずのお前が、いつもそれを求めて帰ってくる。  
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