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気が付いたら妖怪たちが拝みまくっていて、僧正坊と役小角が泣いていて。マメが自分の腕の中にいて。
「ええっと」
「花音が救ったんだよ」
言われて、マメがスヤスヤと寝ていることに気づく。その顔はとても安心しきっていた。
まったくもうと、花音は身を起こすとその頭を優しく撫でてやった。なんだか子どもが出来たみたいって、そんな年齢じゃないけど、そう思ってしまう。
「ありがとう。たぶんこれでもう、マメが、いや、紅葉が暴れることはない」
そんな花音に役小角が深々と頭を下げた。それに続いて妖怪たちもひれ伏すのだから、花音は大混乱だ。
「ええっと、ええっ」
「ただ、花音。君はあまりに急速に力を使い過ぎた。たぶん、普通ではいられない。俺と同じになってしまったのだと思う」
しかも役小角が続いてそんなことを言うのだから、卒倒しそうだった。しかし、花音もそれは感じていた。何だか身体の感覚が今までとは全く違うのだ。
「じゃあ、私、陰陽師になっちゃったの」
「うん。それどころか、不老不死を獲得できると思う。だから、どこかで、今生きている環境から、こちらにシフトしてもらうことになると思う」
役小角は非常に申し訳なさそうだった。でも、花音には後悔はない。
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