コロナと向き合う小さなこころ

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 「これ見て」  お母さんが差し出したのは、近くのスーパーの折り込み広告。その裏面には不揃いの大きさのひらがなが並べられていた。  「ままのて ぎゅっ。 とても たまねぎ くさいけど、 まいにち おいしい ごはんを つくってくれる て。 ぱぱのて ぎゅっ。 ごつごつしていて きもちわるいけど、 まいにち おしごとを がんばる て。 おばあちゃんのて ぎゅっ。 おかおと おなじで しわしわのてだけど、 なんだか きもちいい て。 のんちゃんのては、おしょうどくで びちゃびちゃなんだ。 いつかちゃんと つなげるといいね。 びちゃびちゃ なくなるといいね」  そう書かれた最後には、小さな四角の枠で区切られた僕あての三枚の握手券が用意されていた。  そっと握ったのんちゃんの手――、 妹はスヤスヤと寝息をたてながら、ゆっくりと握り返してくれた。 ― おわり ―  小さな子供たちの奪われたちいさな世界の価値観。 コロナ終息を願いつつ綴った作品です。 最後までお読みくださり、心より感謝申し上げます。 「ありがとう。。。ペコリ」 井之上 光
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