恋愛運アップの明太子クリ一ムパスタ

49/49
144人が本棚に入れています
本棚に追加
/376ページ
仕事が終わったら姫路駅周辺で落ち合い、デ一トを楽しむそうだ。 「その報告をしに来てくれたんや?」 「そう。もう、遠慮せずうちに泊まってくれたらええのに。美代ちゃんに今度は泊まってって。って言うたところ」  姉は不服そうな面持ちだったが、すぐにパッと笑顔に切り替えた。 「さて、準備をそろそろ出来るところから、始めていこうかな」  姉の声は弾んでいた。目線を窓の向こうに向けた。 (明太子のクリ一ムパスタは、恋を運んでくれたんだな)  開運フ一ドは気休めではあるけれど、優しい出会いに感謝だ。二人とも恋愛には奥手のタイプ。上手くいくことを願いながら、窓の向こうに見えるラムネのような水色をした海を、みつめた。風が吹き、水面に砕けた朝の光と共に、チラチラと震える。海面の上に光をぼんやり膨らませ、映し出していた。遠くに船が見え、水面に光の襞を走らせていた。  今日も、ここから見える瀬戸内海は、優しい色をしている。明日もきっと柔和な色を見せてくれるだろう。
/376ページ

最初のコメントを投稿しよう!