私達夫婦の未来のカタチ

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私達夫婦の未来のカタチ

ある日、夫が言った。 そろそろ子供を考えようと。 私はそれに漠然と抱えていた不安を吐露する。 醜い気持ちが溢れるかもしれないと。 素直に喜べないかもしれないと。 「全部俺のせいにしたらいいよ。君がそうなるのは自然の営みが出来ない俺のせい。人を羨むのも嫉妬するのも俺のせい。辛くなったら俺に当たってくれよ。受け止めるから」 「凄い乱暴な言葉を吐くかもしれないよ」 「そうだね」 「貴方だって辛いのに、また貴方だけを責めた言い方をするかもしれないよ」 「当然だと思う」 「あまりにも醜い姿を晒す私を嫌いになるかもしれないよ」 「それはない。どんな君も俺のモノだから」 「妊娠したら、収入が減る」 「働き者の君を休ませることが出来て嬉しい」 「産まれたら構ってあげれないからね」 「いいよ。俺が子供と君を構うから」 「……本当に、いいの?」 望んでいた。 不安だけど、ずっとその言葉を待っていた。 夫の男として見られていたい、精だけ求められてるようで抵抗がある、抱けないけど抱いて子を成したい気持ちが捨てられない。 そう言っていたのに。 「待たせてごめんね。やっと自分の気持ちにケリがついたんだ。君には諦めさせておいて俺が諦めないのはおかしいよね。出来ないのに……しようとしても俺がダメなのに。ようやく吹っ切れたんだ。嘘じゃないよ。無理もしてないからね。どんなカタチであれ君との子供が欲しいと心底思っている」 穏やかに笑う夫に涙が出た。 おいでと、手を伸ばす腕に迷わず縋り付く。 「やって見なきゃ分からないし絶対に妊娠するとは言えないけど、私……実は凄く焦ってた」 「うん」 「年齢が年齢だし、早くトライしたかった」 「うん」 「決断してくれてありがとう」 「遅いと怒っていいよ」 「ううん。強く抱き締めて欲しい。それから唇にキスしてくれたら嬉しいな」 ダメ元でお願いした。 性的な触れ合いはずっとしていない。 キスは頬に触れる軽いものしか出来てない。 だから、断られても仕方ないと思っていた。 夫の申し出に高揚した気持ち、未来への事実だけで充分満たされていたから。 「優しいキスと激しいキス、どっちがいい?」 「えっ?! い、いいの?!」 「うん。言われなくてもしたいと思った。こんなに喜びを露わにする君を見れるなら、もっと早く決断すれば良かったよ。で、どっちをお望みかな? ちなみに俺は最初優しく後激しくを希望する」 私はただ頷いた。 頷くしか出来なかった。 込み上げる恋情が喉を締め付けて言葉にならない。 しっかりと夫の顔を見ていたいのに、滲んだ視界が夫を隠す。 目を閉じて。 言われたと同時に、懐かしい温もりが唇に落ちてきた。 ( 完 )
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