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「僕」の物語のエピローグ
拝啓、ボイジャー1号。
お元気ですか。
君は今、どこを旅していますか。
まだ暗い宇宙を彷徨っているのか、あるいは、
どこかの星に着陸して、宇宙人に会ったのでしょうか?
君から最後に通信を貰ったのも、もう--年も前の話です。
この間に、世界は大きく変わりました。
今まで人の手でやってきたことの多くは、システムで何でもできるようになりました。
スーパーの会計も、学校の授業も。
挙げ句は車の運転でさえも。
昔と違って、「システム」というものが日常に浸透しています。
そういう時代だからか、今はシステム開発という仕事が注目を浴びていて、その分、求人も多くなっている今日この頃です。
かくいう僕も、来年の春からシステムエンジニアとして働くことになりました。
僕が開発するのは、保険会社の契約情報管理システムです。
本当は、宇宙開発関係の仕事に携わりたかったけど、残念ながらその手の企業とは縁がありませんでした。
そういうわけで、多分だけど。
これが僕からの最後の通信になります。
そもそも、この通信が届く頃には、君もとっくに活動停止しているだろうし。
僕も社会人になるから、きっと君からの通信を受信する暇もなくなると思うから。
だから、今までありがとうございました。
願わくば、君の運ぶゴールデンレコードが無事にどこかの宇宙人に届いていますように。
さようなら。
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