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1.運命の出会いとスローガン!
「一真くん。今日はね、髪の毛くるくるにまいてきたの」
得意気に髪をくるりと指でまわして見せる。
どうかな。今日こそ言ってくれるだろうか。
一真くんは一瞬だけ私に視線を向けて、それからすぐにふぃっとそっけなく逸らした。
「…ふーん」
一真くんの綺麗な横顔は好きだけど、今はとても寂しいです。
全然こっち向いてくれないじゃないですかァァ。
柔らかそうな銀色の髪がおしゃれに揺れて、一真くんはどこかへ歩いていってしまった。
誰もいなくなった空席を見て膝から崩れ落ちる。
「……今日もだめかぁぁ」
耳に銀色のリングピアスが左右一つずつついていて、制服のボタンなんていつも二つ開いてて、the……モテる。
視線の先で女の子にちやほやされている一真 律くんを見て、思わずへにょへにょ全身の力が抜けた。床が冷たくてきもちい。
いつも女子に囲まれてて、俺かっこいいですかラァ(キラキラ)みたいな雰囲気出してるのに、
なんで……
なんでこんなに好きになっちゃったの私ーーっ
あの、あのさっ?!(必死)
恋って、恋ってさっ、相手のことをこうだんだんと知っていって、いきなり目があって、あら逸しちゃったキャぁ、もどかしいっ、みたいな
そんな段階があって始まるものだと思っていた、なのに
私の恋はなんの予告もなく突然始まっちゃった
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