全力疾走

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 ある程度歳を取って、自分の全力を意識することはほとんどなくなった。  いつも限界よりもかなり低いところで生活しているし、高いパフォーマンスを求められることも少ない。  100mリレーを走ったときも、全身に100%の力は込めなかった。  というよりも、込めるとバランスが崩れることがわかるので、できなかった。  手抜きをしたわけではなく、周りの人からは、 「速いですね~。さすが鍛えてますね」  と感心されたので、十分な頑張りだった。  これが全力といえば全力なのかもしれない。  これ以上力めないのだから。  若い頃は自分の限界をいつも意識していた。  限界に挑戦しようとし、8回は超えたはずだ。  なぜ8回かというと、これ以上頑張ったら倒れるとか、自分がどうにかなるんじゃないか、と8回思ったからだ。  自分が思っていた限界に達すると、全然限界ではなかったことがわかる。  スポ根のような発想だが、全力を出すということは、自分の認識に変化が起きることかもしれない。
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