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楽しい時間はあっという間で律くんがリタイアして眠ってしまったからお開きになった。
「またね〜。」
律くんを抱き抱えてヒラヒラと手を振ってくる秋久さんと春乃さんにありがとうございましたとお礼を言ってから玄関を開けてあげた。
3人が帰ると途端に部屋の中が静かになってそれに少しだけ寂しさを覚える。
「疲れたろ。」
「そうですけど、楽しかったです。」
「そうだな。秋久がうるさすぎて追い出そうかと思った。」
悠真さんの呆れ顔にふはって俺が吹き出すと悠真さんがぐしゃぐしゃって俺の頭を撫でて笑うなって抗議してきた。それにまた笑ってしまう。
「風呂はいって寝るか。」
「はいっ。」
何となく悠真さんの手に自分の指を絡めると悠真さんが一瞬俺の方を見てからしっかりと繋ぎ直してくれた。
そのまま一緒にお風呂へと向かう。
幸せだなと思う。
混じりあった匂いが俺たちを包み込んでふわふわと揺れる。
目には見えないそれがまるで俺達を繋ぐ赤い糸のようにも感じられて、匂いがする度に俺はやっぱり幸せだと思った。
コンビニの店員とお客の関係は今は無くなってしまったけれど、その代わりに夫婦っていう関係になった俺たちはこれからもこの匂いに包まれながら過ごしていく。
それがたまらなく嬉しいなと思って、俺は背伸びをして隣に居る悠真さんの頬にキスを落とした。
Fin.
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