第二章:怪異の犠牲者

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「わかった。さっき、スマホでこの辺りの天気を調べたんだが、昼前から雨が降るらしい。かなり強く降るみたいな表示が出ていたから、早めに出て早めに切り上げるのが無難になるだろうな。いつ帰れるのかもわからない現状、ずぶ濡れになるようなことは避けたい」 「あ、やっぱり降るんだ。ついてないなぁ。でもあれか、オカルト的には良いシチュエーションなのかな? 山奥の橋が原因不明で落ちて、不穏な噂がある場所に閉じ込められた挙句に天気も大雨。殺人鬼とかヤバい感じの悪霊とかでも現れたら、完璧に映画の世界だもんね」 「殺人鬼はオカルトじゃないから不要だな。霊的現象より、物理的に脅威となる人間の方が、厄介だ」 「ん? あー、なるほどね。確かに、呪われてもすぐには死なないイメージが幽霊にはあるけど、殺人鬼に襲われたらその場で殺されて終わりか。そう考えると、幽霊の方がマシに思えるかもしれないね」  灯矢の指摘に納得し頷きながら、おれはお茶を一口啜る。
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