Ⅰ 鳥籠の世界

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 Ⅰ 鳥籠の世界

ぽつ、ぽつ、ぽつ。 どこかわからないけど、遠くもないどこかに、お水が落ちる音がする。 つめたくて、固い石の床に、ぽつ、ぽつ、ぽつ。 きのうの夜からつづく、雨の落ちる音は、しずかで、むかし聞いた子守唄ににてる気がした。 あかりがないここじゃあ、いまが夜なのか朝なのかわからないけど。 しずかに続く子守唄に、小さなあくびが漏れて、眠たくなってくる。 でも、あたまの奥がずんと重くて、あついような、さむいような。 それが何だかきもちわるくて、起きあがろうとすると目の前がくわんと揺れて、 「──…あ、っぅ」 ごつん、と。 頭をつめたい床にぶつけてしまって、きらきら、白い星が暗闇にかがやいた。 にぶい痛みがじーんと広がって、頭を抱える。 せまい籠の中で動いたから、背中の下にある翼がしびれるように痛んで、きゅぅっと喉から変なこえが出そうになった。
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