待ち合わせ

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あれ?絶対違う······と思う。 私は携帯を取り出し、写メの人物と見比べる。 最近、彼氏と別れた私は、友達から勧められ、マッチングアプリで気に入った男性と待ち合わせの約束をしていた。 趣味が合い、話も面白そうだし、何より顔が私好みの超イケメンだったからだ。 もう一度、噴水の周りを確認してみるが、彼以外赤いチェックのシャツを着た男性など居ない。 私は、また携帯の写メに目を落としてみる。写メの中の彼は、シャープな輪郭で、目元はキリリ、鼻筋も通ったイケメン。 一方、噴水の前の彼は、うっすらした頭頂部を隠すように頭は七三、いや、八二くらい。顎は二重顎、目元は············ん? 遠目に、彼の顔の回りを手で覆って薄目でみてみると、目元と鼻が写メの男性と同じに見えなくもない。 そういえば、写メの彼は、頭の部分は切れて写ってるし、顔の回りはマフラーで隠されている。 と、いうことは······。 私は何事もなかったかのように、無言でその場を後にした。 end
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