子供

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子供

「どうかな?」 私は傷の具合はどうかと子供に尋ねると、子供は恐る恐る足を動かした。 そして、あまり痛みもないのか大丈夫だとばかりに足踏みをする。 「よかった~大丈夫そうだね!君のお名前は何かな?」 また屈んで名前を聞くと… 「……」 パクパクと口を動かすが声が出ない、喉を押さえて悲しそうな顔をしてしまった。 この子はもしかしたらショックな事があって精神的な問題で声が出ないのかも… なんか授業でそんな事を習った気がする。 私はにっこりと笑うと 「大丈夫だよ、無理して喋らなくていいの。じゃあお姉さんが色々聞くからあってたら頷いて、間違ってたら首を振ってくれる?」 子供は私の言葉に目を見開くとコクリと頷いた。 「ありがとう!お姉さんの名前はリナって言うのよろしくね!じゃあまずは君は迷子かな?」 フルフル、首を横に振る。 て事はお家がわかるのだろう。 「じゃあお母さんとお父さんのところに連れてってくれる?君に怪我をさせた事を謝らないと」 そういうと子供は悲しそうな顔をして首を振った。 ああ、この子も同じなのかな? 「そっか…お姉さんもお母さんとお父さんが居ないんだ。でも一緒に暮らす大事な家族がいるの…君にもそういう人はいるかな?」 もしコレで首を振ったなら修道院に連れて行ってあげよう…そう思っているとコクっと縦に頷いた。 よかった… 「そっか~!ならその人のところに案内してくれるかな?」 コクッ 「ありがとう!お姉さん道が分からないから手を繋いでくれる?お姉さんが迷子にならないように!」 手をそっと差し出すと子供は驚いた顔をした後コクッと頷き手を握りってくれた。 二人で手を繋ぎならが道を歩いていく、道ながら私は子供に色々と話しかけた。 「その服可愛いね!ピンク好きなの?」 子供は少し考えて首を傾げた。 クスッ…その様子に笑ってしまう。 その子が着ていた服は上等な物だがサイズが合っていなかった、ヒラヒラとリボンが付いていて汚すのを躊躇うような服だった。 このくらいの子供だともっと動きやすい方がいいだろうに… しかし嫌だと言わないこの子の優しさと健気さに愛しさが湧く。 そんなたわいもない会話をしていると グイグイ! 子供が手を引っ張った! 「ん?ここがお家?」 子供は一軒の家の前で立ち止まった… 「え!?ここ…」 確か着ている物が良い物だった気がしたが… そこはごく普通の一人暮らし用の住まいだった。 子供がいるならそれ用の住まいかと思っていたが…しかも治安もそれほど良くない地域だ。 トントン! 扉をノックしてみるが反応がない、どうも家を開けているようだ。 「どうしよう…また後日挨拶に来るかなぁ…」 私が悩んでいると ギュッ… 子供が私の手を強く握った。 どうしたのかと見下ろすと不安そうな顔でこちらを見上げている。 「もしかして…帰ったら嫌なのかな?」 私はしゃがんで子供に聞くと コクッ… 子供は下を向きながら頷いた。 確かにこんなところで1人にされたら不安だろう。 「よし!じゃあお家の人が帰るまでお邪魔しちゃおうかな!?」 私がそう提案すると、子供は嬉しそうに顔をあげた!
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