ポメラニアン顔しか勝たん!

1/6
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ

ポメラニアン顔しか勝たん!

「今日もお前の昼飯バケモンだな〜」 「ほうへふか?」  俺はおにぎり4個と唐揚げ、枝豆、照り焼きチキンが入ったタッパーを見つめる。独身男性の自作弁当なんてこんなもんだろ。と、辻村先輩を見る。 「腹、痛くならないように気をつけろよ」 「心配してくれてありがとうございます。気をつけます」  みんなわかっているだろうが、俺はかなり普通に振る舞っている。仕事では家での俺は出てこない。出したくても何故か出せないのだ。不思議だろう? 俺も不思議で仕方ない。  もったいぶるのもあれなので、春田の話をしよう。  まずは春田の年齢から。歳は22らしい。運転免許証から逆算して数えた。  性別は男。身長175センチ前後といったところか。まぁ185センチの俺には敵わんだろう。  出会いは忘れもしない。秋葉原の駅前にある時計台の下。そこで待ち合わせをしていて、春田が姿を現したのだ。 「【総受けはポメラニアン顔しか勝たん!】さんですか?」  ぼそぼそとした声だったが、俺は自分のハンドルネームを聞き間違うことはない。俺は満点のスマイルで隣から声をかけてきた若者に身体を向ける。 「はじめまして。とすると、あなたは【執着受けを守り隊】さんですか?」 「……はい」  こほ、と掠れた咳をして若者が会釈をする。この頃の春田は今より幾分か礼儀正しかった。 「それにしても、もう待ち合わせ時間から1時間経つのにまだ君しか来てないんだよね。おっかしいなぁ……予定では7人くらい参加の予定だったんだけど」  今日は俺主催のオフ会を予定していた。現代っ子には伝わらないかもしれないので、一応説明しておく。オフ会とは、趣味嗜好など共通の話題で盛り上がったネット上のグループが、現実に会って遊ぶ会のことである。というのが俺の見解だ。間違いがあったら申し訳ない。許してくれ。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!