誰そ彼への想い

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     * 「・・・・・・今いずこにおられるのでしょうか?」  ため息と共に、おせんは繰り言のよう呟いてしまう。 暮れ始めた空にそう尋ねたところで、(いら)えがあるはずもないのだけれど。 全く詮無い事と分かっていても、手持ち無沙汰で周りに誰もいない時、彼女は同じ問いを繰り返してしまうのだ。 誰に問うわけでもなく、(いら)えを期待しているわけでもないにせよ。
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