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「今どこにいるの?」  時刻は2時半。私はスマートフォン片手に周囲を見回していた。お昼を過ぎた原宿は色んな人で賑わっていた。待ち合わせ場所のタピオカドリンクの店でも女子高生や女子大生が集まっている。 『どこって待ち合わせの場所にいるよ、すぐ目の前』  電話の相手はネットで知り合ったカエデちゃん。彼女の投稿には今まで見たことのないタピオカドリンクの写真がいっぱいあった。どこにあるのか気になってメッセージを送ったことをきっかけに話すようになって、今日ついに会うことになっていた。  それっぽい人いるし、この中にいるのかな。私はとりあえず手を上げ、振ってみる。 「今、手を上げてるんだけど見える?」 『ちょっと待って・・・・・・いや、見えないよ。今度は私が上げてみるね』  そう言われ周囲を見渡す。しかし、手を振っている人はいなかった。原宿のタピオカ屋さんと言ったらココだと思ったんだけどなぁ。すると、カエデちゃんが問いかけた。 『もしかして、違うタピオカ屋さんにいるかも。チェーン店だし似たような店多いし』 「えー、いくらなんでもありえないんじゃない」  そんなにタピオカ屋さんあったかなぁ。 『そうかもしれないけど、色々歩いているうちに見つかるんじゃない?』 「それもそうだね。じゃ、通りの奥に進んでみるね」  カエデちゃんに伝えると、自分もテレビでよく見る通りの方へ歩き出した。
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