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ワシは暗がりの中でふと考える。小さな集落は点在する。王冠を手放したと言う事は、もはや王様ではない。
ただの人族であり家臣からも見放されたただの一介、それもこの年で知識だけある、ただのオヤジ。
魔物が群れて走ってくる、なんだ!! ワシは魔物のエサになって終わりなのかー!! 逃げる構えを。
「待って!! 待って!! これはテキではないわ!!」
魔物の群れの中に、狼のウルフに股がる女性の声。妙だ。
「あなたは?」
「見ての通りただのモンスターブリーダー、たまたま、町の人がポツリと居るから、声を描けたの」
よし、これもなにかの縁、縁とはいつやって来るか解らないものだな。
「元国王じゃ、それはともかく、お主の家に付いて行っても良いか?」
モンスターブリーダーは気さくに。
「ああ、私は町で食材を買った帰りなの、タイガーこの方を乗せてくれる?」
「ウォーン」
タイガーとは変わった鳴き声なのだな、ワシが猛獣に乗れと、とかくおぞましい。魔物を手なづけるとは。
ワシはタイガーと呼ばれる魔物の背中をなで付ける。危害は無いようだ。ちと魔物臭いそしてゆっくりタイガーに乗ると、モンスターブリーダーが。
「みんな、行くよー」
凄まじい疾走感、風をきって走るか、月明かりがあることで、寝室よりは見通しが良かった。
必死にタイガーの毛を握って居るが、タイガーの太い毛並みがコワゴワで、走るので揺れる。
モンスターブリーダーはしっかり掴んでと言う、そして確認すると、全力よと号令をテレパシーの念話で飛ばす。更に加速した。
どんどん王都から遠退き、大岩と木のある森の入り口で、止まれとモンスターブリーダーは号令を掛け、徐々に速度を落とし止まるとモンスターブリーダーは。
「さあ、みんなお家だよ」
ワシは降り、タイガーが大岩に消える。これが話に聞くマジックコーティングルームと言うやつらしい。
平行世界だとかどうだとか、大岩に手を当て念じると入れるらしい。
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