9-1 水着の季節がやって来る。

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「いやいや……センパイ、トップより二番手が丁度いいって言ってたし」  どちらかというと、風邪を伝染し(毒を盛っ)たのはオレだ。思わず苦笑が漏れる。  九重は体調が未だ全快に至っておらず、本日も学校を欠席。その為、会議では〝会長の補佐〟という五十鈴センパイ(副会長)の本来の役割が存分に発揮された。  センパイの仕事っぷりはかなり優秀だった。驚いたのは、センパイが不在時の記録も、資料を一瞬パラ見しただけで全て把握、暗記までしてしまったことだ。瞬間記憶能力というやつだろうか。おかげで会議はダレることなく、非常に効率的に進んだ。  そういや、センパイは自分の事を〝表向きには真面目な天才児ってことになっている〟とか言ってたっけ。どうやら〝天才児〟の部分は本当らしいな。 「てか、いつの間に知り合ったん? 自分ら」 「あー、いや、まぁ……」  八雲の更なる追及に、オレは口籠った。オレが学校休んで家に居る筈の時に、本当は外出していてそこで知り合った、なんて言えねえ……。約一名、聞かれたら色々とマズい事になる相手が、今も同じ空間に居る。
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