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カイルが唇を離すと、サフラは手を払う。
「パートナー? 仕事としてですか? それとも……」
「仕事としてだよ。さっき言った通り、代々、王族は妖精と契約してきた。君と同じように魔法少女、魔法少年に変身出来たんだ。それが今は出来なくなっている。……妖精の泉が枯れて、妖精が生まれなくなってしまったから」
「妖精の泉ですか?」
「この国の妖精たちというのはね。王族が守る妖精の泉から生まれてきたと言われているんだ。それが数年前から続く魔物騒動で、泉が枯れて、妖精が生まれなくなってしまった。君は自分の妖精以外、見た事はあるか?」
「言われてみれば、ありませんが……」
前世、純子だった頃は他の魔法少女たちが契約する妖精たちを見たが、今世ではポル以外の妖精は見ていない気がした。
「その妖精の泉を復活させるには、妖精と契約を交わした者が放つ浄化の光が必要なんだ。丁度、君が持つステッキから放たれる様な清らかな光がね」
「……もしかして、昨日の戦いを見ていたんですか?」
「最後の方だけ。正体がバレたくないなら、顔を隠せばいい。その箱の中に入っているから。中身はかつて妖精の泉に生えていた植物から取れる繊維で織ったマントだ。妖精と契約した者の姿を隠す効果がある」
サフラが箱を開けると、中からシルクの様な生地で出来たフード付きマントが出てくる。
「三日後、迎えに来るから、その時まで用意して……」
「今すぐは無理ですか?」
「構わないけどいいのかい?」
「……面倒事は早く終わらせたいので」
キョトンとしたカイルだったが、サフラの言葉に小さく笑うと、「城に遣いを出してサフラが行く事を知らせるから」と一度店を出て行く。
サフラはポルに声を掛けると、カイルが戻って来る前に支度をしたのだった。
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