ふたりに迫る危機

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「は、離してください」 由衣子は必死に抵抗するけれど男性の力に適うわけもなく。どんなに暴れても芳人の腕を振り解くことができない。 そんなふたりの様子を通行人たちはちらちらと見ているだけで、関わらない方がいいと判断したのかすぐに視線を逸らしてしまう。 芳人に手首を掴まれて強引に歩かされる由衣子は軽くパニックを起こしており、助けてと叫ぶことができなくなっていた。 その状態のままコインパーキングへと連れてこられ、由衣子はそこに停まっている一台の車の後部座席に押し込まれる。 すぐに扉が閉まり、芳人が運転席に乗り込んだ。 「これから綾人をさらに追い詰めてやる。愛人の子供のくせに調子に乗りやがって」 芳人はぶつぶつと呟いてから車のエンジンをかけた。
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