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起
双子の妹が死んだ。
静まり返ったリビングで私は小さく息を吐き、警察からの電話を切った。
「死んだ…?真希が?」
人って、現実味を帯びない状況に置かれると、こんなにも冷静になってしまうのか。
ーーーあれは、つい数時間前の出来事。
『優希お姉ちゃん聞いてよ〜!』
まんまるい目に、小さな鼻、透き通る肌に華奢な体つき。
『彼氏がね、この口紅私には合わないから捨てろって怒ったの!』
…そして、ぷっくりとした唇。
その唇に映える深紅の口紅は、もはや彼女のトレードマークと言えるものだった。
『この口紅高かったのに…ほんっと信じられない…むかつく!』
見た目こそ瓜二つなものの、性格は正反対と言ってもいい私達。
外交的な真希に、内向的な私。
そんな私達だからこそ、真希のめまぐるしい日々の話に笑いながら耳を傾けるのが姉の私の役割だった。
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