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アルが最後に使用したカード〈愚者〉、このカードは相手の魔法を同じだけの魔力を使い模倣する。
3人は重傷であったが大事に至る程の傷は受けていなかった。
レナを貫通した矢は急所を外しており、出血量は多かったがすぐに回復するとのこと。
アルとキャンディは魔力が底を尽き、全身打撲に骨折、数えきれない程の怪我を負っていた。
試合から2日後
「ここ、どこだ?」
アルが目を開くと真っ白な天井に、ふかふかのベッド、そして病院の香りが鼻をくすぐった。
体を動かそうとすると雷に打たれたかのような痛みが全身を駆け巡る。
あまりの痛みに目から涙が零れる程だった。
「無理しない方がいいわよ、あなた今全身傷だらけだから」
目の端に白衣を着崩した妖艶な魔女・・いや医師が立っていた。
そんなに胸元開けておく必要があるのか?
その後、試合から2日経過したこと、アル達が勝利したこと、レナとキャンディの容態について聞かされ、アルは安堵から再び眠りに落ちる。
アルとキャンディは重傷で、あと最低でも2週間は退院できないそう。
その間は試合に出ることはできないが、怪我の場合の欠席は順位に影響しない。
2週間後
アルは全快とはいかないまでも動けるまでに回復した。
退院後、アルとレナはキャンディに呼び出され、謝罪をされた。
「この間はごめんなさい、ちょっと熱くなりすぎたわ。勝負は私の惜敗、あなたたちの勝ちよ。約束はちゃんと守るわ、姉の誤解を解いておくわね」
アルは去ろうとするキャンディに声をかける。
「ちょっと待って!入院中考えたんだ、これからの僕たちについて。もし君が良ければなんだけど僕のチームメイトになってよ」
この提案に驚きを隠せないレナとキャンディ。
「アル君、聞いてないんだけど!?こんな自己中心的な人、チームに入れたら何しでかすかわからないよ、私はいやだよ!!」
最初のことを考えるといいイメージはないだろう。
勝手に勝負を挑んで、脅しを入れつつ引き抜くとか言ってきた相手だ。
だが、現状戦力が圧倒的に足りていない、もしアルのカードの引きが悪く攻撃に転じることが出来なかったら?
レナを前衛にするわけにはいかない。
アルと対等に渡り合える、ポテンシャルの高さを示した。
さらに学園最強の魔導士とソロで5位に君臨している姉と血が繋がっている、これからさらなる成長が期待できる。
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